コンビニ店長になってはいけない13の理由

初めまして、元コンビニ店長です。私はコンビニで15年ほど働き続けてきたのですが、先日フランチャイズ(以下FC)契約満了のタイミングで退職しました。表面上は「アルバイト→店長→FCオーナー」と順調な出世をしてきたのですが、現実はなかなかに険しいものでした。同じような悲劇を新規加盟者が繰り返さないように、またこれを読んでくれたコンビニ関係者が現場の苦しみを少しでも感じとってくれて、今後の本部運営に活かしてくれることを願ってこのブログを書きました。単純に鬱憤を晴らしたいという気持ちもかなり強いですが。

 

まず私が働いていた店の環境を簡単に説明します。日商は全国平均を少しだけ上回る程度、本部とのFC契約条件はそれなりに良いタイプ、単店舗で社員は私と親族1名の合計2名のみ。正直、他のコンビニ経営者の多くは羨ましがるような条件かもしれません。しかし例え恵まれた環境であったとしても、問題点があまりにも多すぎるのではないかと私は感じました。

 

コンビニ店長になってはいけない13の理由、まずは経費の面から述べていきたいと思います。

 

 

【1.販売期限切れ商品の負担】

お弁当やおむすび、パンなど賞味期限が短い商品は売れ残ると廃棄になります。その廃棄になった商品の原価は、コンビニチェーンや発注条件などにより多少変わりますが80%以上は店が負担します。廃棄を出さないように発注すると売場は当然品薄になるので、客が買いたい商品が欠品して客が離れてしまう可能性があります。つまり廃棄を出さずに店を経営するのはほぼ不可能であり、利益を圧迫するような状況であっても店のオーナーは毎月何十万という廃棄金額を負担しなければなりません。

 

【2.人件費の負担】

並みの売上のコンビニでは最低賃金の時給をアルバイトに払うだけで精一杯です。店の利益は増えていないのに最低賃金は容赦なく上がります。店長が休むとアルバイトの人件費が増えるので利益が減ります。店長を休ませるために本部が人件費を負担することはもちろんありません。

 

【3.水道光熱費の値上げ】

特に電気代の値上げが切実で、震災前と比べて毎月5万円以上は上乗せされています。水道光熱費は店の利益から引かれるのでオーナーの家計に直結します。蛍光灯のLED化など節電策は出されていますが、本部からの金銭的なフォローは一切ありません。

 

【4.原価の高騰と利益率の低下】

コンビニに限らず、あらゆる食料品や日用品の原材料の価格が高騰しています。さらに消費税の増税もあり、販売価格を上げざるを得ない状況が続いています。それにもかかわらず、販売数の低下を恐れて「原価が上がっているのに売価を上げていない商品」が存在します。利益が少ない商品を売るメリットは店にはありません。併売需要や再来店動機になることを本部は言いますが、そこは本来商品力で勝負するべきだと私は思います。そこで戦えない会社に未来はありません。

 

経費面について述べてきましたが、他業種でも同じような状況に陥っている会社は多いのではないかと思います。次はコンビニならではの問題「人とオペレーション」について説明していきます。

 

【5.アルバイトが集まらない】

これは本当に切実な問題です。どんなに優秀な経営者がいても働いてくれる人がいなければ仕事になりません。コンビニとしてはそんなに低い時給設定ではないにもかかわらず、半年間で20万円近くの募集広告費を費やして1人もアルバイトを採用できなかったときは本当に辛いものがありました。人材を選んでいるのではなく、誰も来てくれないんです。電話すら来ない。その理由は3つあると思います。

1つは、コンビニバイトがそんなに楽ではないと気付かれ始めたこと。昔はコンビニバイトといえば楽なイメージだったのが、最近では「身だしなみにも接客にもうるさい上に、覚えることがとんでもなく多い。」そんな風に思われているのではないかと思います。

2つ目はコンビニの店舗数が多すぎること。これだけ店舗数が多ければバイト希望者も分散するのは当然です。

3つ目はステータスにならないから。SNS全盛期、友達に自慢できないアルバイトを率先してやりますか?ダサいユニホームの自撮りを載せても誰も「いいね!」してくれません。

 

【6.優秀な人材が来ない】

頭のいい人はアルバイトを探すときに何を重要視するのかを考えてみました。時給、まかない社割などの待遇、友達に自慢できるステータス、将来に活かせるスキルを得ること、異性との出会い、おそらくそんなところだと思います。コンビニには何にもありません。優秀な人材など来るはずもありません。ダメな人間を一人前に育て上げるのが真の店長だという方もいるかもしれませんが、私の考えは全く逆です。本当にダメな人間は何をやってもダメです。

 

【7.レジオペレーションの煩雑さ】

各種電子マネー、クレジットカード、割引券、商品引換券、ポイントカード…とにかく多すぎます。併用できない組み合わせ、受付する順番のルール、クレジット支払い不可の商品など、とても覚えきれる量ではありません。私はレジに相当詳しい自信がありますが、とにかく異常な複雑さだと思います。優秀でないアルバイトにそんなものを使いこなせるはずありません。

 

【8.販売委託・代行業務の非効率さ】

チケット発券、公共料金の支払い、ネットショッピングの支払い、プリペイドカードの販売、荷物の受取などとにかくたくさんのサービスがありますが、どれも店の利益は1件当たり数十円です。おむすび1個分の利益を得るためにレジ接客の時間を何十秒も取られます。利益が少ないにもかかわらず扱う金額が大きいので、間違えたときのリスクが高いということです。チケットやプリペイドカードなどで表向きの売上は上がりますが、店の利益はほとんど増えません。本部は来店客数の増加と利益の増加のバランスを考えてはくれません。

 

【9.大金を扱うリスク】

代行業務が多いため1回の会計で10万円以上のお金がやりとりされることも多いです。それを高校生のアルバイトが受け付けしたりすることも当然あります。毎日100万円以上のお金が店に集まります。金銭の不正をするアルバイトが出たときは大変な騒ぎになりますが、本部は一切介入しません。防犯カメラの設置・運用も店負担なので自分の身は自分で守るしかありません。

 

次は店長の休日と客についてです。頻度の差はあれど、24時間営業の他業種でもあることかもしれません。

 

【10.休めない】

厳密に言うと休めます。ただし休んだ分の人件費と、それなりに経験を積んだ信頼の置けるベテランバイトは必要になります。それを用意するのが簡単ではないからなかなか休めません。本格的に丸1日休むとなると精算業務、発注なども任せないといけないのでさらに難易度は上がります。

 

【11.深夜早朝休日の呼び出し】

頑張ってアルバイトを育ててシフトを調整して休みを取ったのに店でトラブルが起きてしまうと、店に出向かわないといけません。客が「店長を呼べ」と言うとアルバイトは店長を呼ばざるを得ないのです。どうして店長まで24時間年中無休でないといけないのでしょうか。

 

【12.コンビニ利用者のモラルの低下】

家庭ゴミの持ち込み、駐車場のゴミのポイ捨て、トイレのいたずら、汚い手で立ち読み、コーヒー用備品の過剰な持ち帰り、商品の万引きなど犯罪レベルの迷惑な行動をする客。自分の納得できる接客レベルでないとキレる客、品揃えにいちいち文句を言う客などやたらと上から目線な客。好き勝手、自分勝手な言動をする客が多すぎます。しかもそういう客に限って何度も来店する傾向があるから本当にたちが悪いです。そしてこういった客は時代の流れと共に、今後さらに増えていくと私は予想します。

 

【13.そして何でも屋へ】

コンビニのサービスは、客が自分である程度やってくれるという体で成り立っています。もちろん困っている人は助けますが、そのような事態は本部は想定していません。おじいちゃんにコピー機の使い方を教えていたら、レジに大行列ができているなんてこともあります。「コンビニはなんでもやってくれる」そう思ってもらえるのは有り難いことなのかもしれませんが、限られた人数で働いている店に過剰な負担をかけているのは間違いなく「できないことはできない」とはっきり客に伝えていかないと、コンビニは客にとって都合の良い何でも屋になってしまうのではないかと思います。一番大事にするべきなのは利益率の高い「商品」を買ってくれるお客様です。さすがに本部もそこを見失ってはいないと思いますが、現場は危機的なフェーズに突入しています。優れた商品を質の高い接客で売る。そのための地盤が本当に整っているのか、本部には本気で考えてもらいたいです。

 

 

最後に、このブログは2015年上旬の自分の店の状況をもとに書いたものです。店舗毎の売上の差、本部との契約条件、店の立地条件・土地柄によって、利益や人の問題は大きく異なります。全ての店長・オーナーが苦労をしているわけではないと思いますが、全国平均以上の売上がある私の店であってもかなり厳しい生活を強いられています。とくに精神面での負担は年々大きくなっていき、とても耐えられるものではなくなり辞めることを決意しました。

 

新たにコンビニ経営を始めようとしている方は「ハズレくじを引かされて契約年数分の人生を無駄にするかもしれない覚悟」を持って挑んでください。当たりが出る確率は極めて低いと思いますが…